日本の染め物の歴史を変えた染め技法

注染とは、主に手ぬぐいに用いられる手法で、藍単色染めが主流だった染物界で、多色使いやグラデーションを実現し、今までになかった新しい色の可能性を生み出した画期的な染め技法です。生地の両面を染色するため、糸の芯まで染まり、表も裏も同じ柄が同じ色合いで出るのが特徴です。

この技術を、綿布から不純物を取り除いて漂白した肌に優しい生地、和晒(わざらし)に施すのが一般的。明治時代から堺市で脈々と受け継がれてきたこの文化は、令和元年11月に経済産業大臣から「浪華本染め」として国の伝統的工芸品に指定されました。

糊置(のりおき)

注染(浪華本染め)の工程はなかなかユニーク。

まずは、和晒生地を糊付台(のりつけだい)の上に置き、デザインを施した型紙を生地の上にのせます。「木べら」と呼ばれる道具を使って、防染糊(ぼうせんのり)という染料を通さない特殊な糊を均一に塗ります。生地を折り返して、この作業を一枚一枚に繰り返します。20m以上ある晒は、手ぬぐいにすると60〜70枚分ですが、これをカットすることなく重ねることで一度に染め上げていきます。

土手引(どてびき)・注ぎ染め

糊置きした生地を染め台の上に置き、防染糊を絞り出して「土手」と呼ばれる囲いを作ります。この作業により土手で囲った部分から染料がはみ出なくなります。土手で囲まれた部分に「ドヒン」と呼ばれるじょうろのような道具で染料を注ぎ込み、同時に下からポンプで染料を吸引し、生地に均等に浸透させます。裏面にもこの作業を繰り返します。糊を付けた部分には染料が染み込まず、付いていない部分に染料が入っていきます。

水洗い・脱水・乾燥

染め上げた生地を洗い、余分な染料や糊を落とします。水洗いの終わった生地は脱水機にかけ、天日干しや室内の乾燥設備で乾かします。

こうして生まれた注染の製品は他の染物とは異なる特徴がたくさん。布の芯まで糸自体を染めるため、裏表がなく色鮮やかで色褪せにくいうえ、染料で蓋をしないので通気性が保たれるのが最大の魅力です。また、一度に多色を使用できるため、細かなグラデーションなども表現可能。時代に合わせたさまざまなデザインに対応できるのも、この文化が廃れることなく愛され続けている所以です。

STORY

株式会社協和染晒工場

PRODUCT

注染ダブルガーゼハンカチ 干支シリーズ

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