堺包丁の歴史は古く、そのルーツは古墳時代まで遡ります。16世紀になると、ポルトガルからタバコが伝来し、タバコの国内栽培が始まりました。堺では、古墳時代から続く伝統的な金属加工技術を用いて、タバコの葉を刻むための包丁が製造されるようになります。

実は、タバコ包丁の起源には2説あり、一つは堺の綾之町中浜に住んでいた手名長兵衛が作ったカミソリが大阪で評判となり、その噂を耳にした豊臣秀吉の命でタバコ包丁を作るようになったと言うもの。もう一つは、かつて刀工だった梅枝七郎右衛門が、大阪・住吉で包丁鍛冶に転身し、タバコ包丁を作るようになったと言う説です。

いずれにしても、日本刀の製造技術を生かした堺のタバコ包丁は、切れ味抜群で長持ちしたことから、江戸幕府の専売品として堺極(さかいきわめ)の刻印を与えられ、全国に販売されました。こうして堺のタバコ包丁の名は広く知れ渡るようになり、歴史に裏打ちされた技は、やがて料理包丁へと受け継がれることになります。分業制で成り立つ「堺打刃物」は、専門の職人が手作りで仕上げた、鋭い切れ味と丈夫さを兼ね備えた逸品です。現在においては、プロの料理人を中心に、料理を愛する人々からの高い支持を得ています。

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