戦国時代から、日明貿易や南蛮貿易などの国際貿易で栄えた堺。
白檀や伽羅、沈香といった香木が交易品として輸入されていたため、堺には薬種商が多く集まっていました。日本の線香の歴史は、そんな背景を持つ堺で始まったと言われています。
安土桃山時代になると、豊臣秀吉の御用商人で宿谷町の薬種商であった小西弥十郎如清(戦国武将・小西行長の兄である小西如清、もしくは父である小西立佐(隆佐)のいずれかを指す)が、朝鮮半島に渡って中国伝来の線香の製法を学び、持ち帰ったと伝えられています。小西弥十郎如清が持ち帰った線香の製法に、堺の伝統的な香の調合技術を組み合わせて生まれたのが、堺線香でした。慈悲の心を表す線香を焚くことには、心身を清め、仏様と心を繋げる役割があります。江戸時代に入ると、堺の線香づくりは盛んになりました。
堺で製造された線香は、寺院数が多い大阪をはじめとする関西圏だけではなく、日本各地へ広がります。寺請制度が設けられ、家庭に仏壇が普及すると、線香の需要はさらに高まることに。日本で最初に作られ、高級線香と名高い堺線香は、1986年2月5日に大阪府知事によって伝統工芸品に指定されました。
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