堺で生まれた先鋭の“ものづくりメーカー”

堺市に本社を置くwajiは、革・布製品をメインに、企画から、デザイン、販売までを一貫して行う“ものづくりメーカー”。大阪市阿倍野区阪南町に建つ登録有形文化財の古民家をセンスよく改築した工房兼ギャラリーを訪れると、トントン、カンカン、職人たちによるものづくりの音が響きます。

代表の菅野裕樹さんは、自社の大半の製品のデザインを手がけるデザイナーでもありながら、企画から営業まですべて自身でこなすマルチプレイヤー。

「少し変わった経歴なのですが、大学時代は各国の民族文化に興味があり民俗学を研究していていました。社会人になり民芸品の輸入販売や生活雑貨のバイヤーとして世界中のものづくりの現場に携わるようになると、日本の職人の技術の高さを再確認せずにはいられませんでした。その後老舗のカバンメーカーで修行を積み、ブランド立ち上げに至りました」

デザイン性だけでなく機能性や使い心地を追求

wajiの初めての商品はシザーケース。菅野さんがいつも担当してもらっていた美容師さんに、「こんなシザーケースつくれないかな」と相談されたのがきっかけなのだとか。

「試作品をつくっては意見を聞く、そんな試行錯誤を2年間繰り返してやっと形になりました。プロが仕事道具として使うものだから、デザイン性だけではだめ。機能性や使い心地を追求しました」

現在は同世代の職人たちとともに、シザーケースだけでなく、カバンや財布、バッグ、エプロンなどさまざまなアイテムを製作。工房をのぞくと職人たちが和気あいあいと作業をしています。その穏やかな空気感は製品にも現れているようで、wajiのアイテムはどれも手にするとどこかほっとする温かみを感じます。

wajiの代表作となるシリーズは大きくふたつ。

まずはアンティークドアデザインの「glart(グラート)」シリーズ。ステンドグラス調のリアルガラスと本革を融合させた小物たちです。

「開発まで約1年半をかけた自信作です。ステンドグラス調の部分は本物のガラスで、革の色に合わせた色調や強度のものを老舗ガラスメーカーと共同開発しました」

もうひとつは、菅野さんのネコ好きが高じた保護ネコ支援シリーズ「aoneco(アオネコ)」です。こだわったのは「高品質のプロダクト×透明性のあるチャリティー」というコンセプト。

「チャリティー商品にありがちなチープな商品はご法度とし、つくり手がプライドとネコ愛をもって生み出したアイテムです。これらの商品代金の約10%が保護ネコ支援施設に寄付される仕組みですが、寄付先をホームページの支援先リストから自ら選べるようにし、支援金がどこでどのように使われているかが明確になるようにしています」

身に着けるだけで気分が上がるワンランク上のエプロン

そんな数あるwajiのアイテムの中で、堺キッチンセレクションに認定されたのは「ウォッシャブルレザーハカマエプロン」です。裾が袴型になっているので足さばきの邪魔をせず、ポケットの底が開閉できるためお手入れしやすい仕様になっています。水や油を使うキッチンで革製品は大丈夫?と心配になりますが、ウォッシャブルなので問題なし。上質な革を使っているので、例えシミやキズがついてもいいエイジングとして馴染んでいくはずです。

「“あくまでも道具、されど身を装う重要な要素”と捉え、試作と実際の使い勝手を繰り返し念入りに検証します。デザインだけでなく素材の特性を理解し、用途に適した革や生地などを厳選しています。使用する革に応じて0.1mm単位で厚み調整を行い、少しでも使いやすく、そして軽くなるように仕上げました」

性別や体型に関わらずスマートにきまるエプロンは、身に着けるだけで気分が上がります。

日本、そして堺が誇るものづくりを世界に広めたい

「wajiというブランド名は、 我々のものづくりを“和(wa)の地(ji)から、日本中そして世界中に、我(wa)の路(ji)を築きたい”という気持ちを込めて付けられました。“堺から世界へ”とよくいわれますが、堺はものづくりの熱量が高く、国内だけでなく世界に目を向けているメーカーさんが多いのでとても刺激になります。伝統工芸から先端技術を駆使した工業品までジャンルも多彩なので、堺のまったく異なる分野のプロダクトとも積極的にコラボしていきたいですね」

堺が誇る高い技術やセンスと化学変化を起こしながら、wajiのものづくりはさらなる進化を遂げていきます。

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