アルスコーポレーション株式会社 2022.10
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堺市が世界に誇る大手総合刃物メーカー
ホームセンターの園芸コーナーやクラフトコーナーでよく見かける「ARS」の文字と真っ赤なワニのマスコット。「はさみ」や「のこぎり」など形もサイズもさまざまな商品が展開されていますが、これらはすべて堺市の大手総合刃物メーカー、アルスコーポレーションによるものです。
本社を訪れると迎えてくれたのは、専務の瀧川敬一さん(写真中央)と、総合企画部の加藤弘朗さん(写真右)と松本崇司さん(写真左)です。
「私たちは堺で明治9年(1876年)にタバコ包丁の工場として創業しました。タバコの葉を刻むタバコ包丁は堺刃物のルーツともいわれており、江戸時代にタバコが人々の間で広がり始めた際は、堺製のタバコ包丁は非常によく切れて長持ちすると評判で、幕府が政府専売品として「堺極(さかいきわめ)」の刻印で日本全国に販売するほどだったと伝えられています」(瀧川さん)
園芸用から工業用までとにかく豊富な商品展開
「そんな刃物の町で、私たちは140余年に渡り培った製造ノウハウを活かし、プロ用刃物メーカーとして成長してきました。現在は、園芸用のはさみ・のこぎりから、日常生活の中でさまざまに活躍する刃物、工業用機械刃物の製造販売から刃物のアフターサービスまで、総合的に手がける企業です」(加藤さん)
その言葉のとおり、本社のショールームには家庭用からプロ仕様のものまで多種多様な刃物がずらり。一見同じように見えるはさみも、刃先が少し湾曲していたり、素材やサイズが違ったり、用途に合わせて細分化されており、ユーザーの細かなニーズに答えてきたことが推しはかられます。
手が届かない高い場所の枝をカットできる「高枝ばさみ」も、実はアルスコーポレーションが国内で初めて商品化したもの。グリップ部分は自転車のハンドルから着想を得たというから、刃物に加え自転車産業も盛んな堺だからこそ生まれた製品だといえるのではないでしょうか。ちなみにロゴマークのアルスワニは刃物がモチーフ。口は開いた剪定ばさみで、背中はノコギリ刃を模したギザギザになっています。このロゴマークのおかげで、農家や園芸家の間では「ワニのマークの刃物」として親しまれてきたのだとか。
職人の技術を機械で忠実に再現
「従来の職人による手づくりのクオリティを、機械生産で可能にしたのが私たちの大きな特徴のひとつです。量産によるコストダウンとともに、品質の安定と向上にフォーカスしています」(松本さん)
職人の繊細な技術を工業化すべく、アルスコーポレーションでは機械から独自開発。機械で限りなく高いレベルに仕上げたうえで、「焼き入れ」や「研磨」などの繊細な作業には人の手を加えることで、数値だけでは表しきれない感覚的な切れ味を追求しています。
こうして生み出されたはさみは、力を入れずともシャキッと気持ちのよい切れ味で、刃先までしっかり切れるので細かな作業も楽々です。丁寧に焼き入れをした刃は耐久性も高いので、長く使い続けても切れ味が落ちづらいのだそう。
「他メーカーさんと比べると値段がやや高いかもしれませんが、長い目で見ればコストパフォーマンスはかなりいいと思いますよ」(松本さん)
切れ味とデザインを両立
数ある商品の中から今回堺キッチンセレクションに認定されたのは、「iDChoki(アイディーチョキ)。水回りで使ってもさびにくいステンレスタイプや、家庭菜園のハーブなどの収穫に活躍するクラフト(多用途)タイプなど、用途に応じて切れ味を選べる7つの刃先に、好みのグリップカラーをカスタムできるのが画期的です。カラー展開は20色で、左右の組み合わせも自由。そのバリエーションはなんと210パターンです。専用サイトで完成のイメージができるのも嬉しいポイントです。
「これまでプロ向けの商品をメインとしてきましたが、一般の方にもプロの切れ味を身近に味わっていただきたいと生まれたアイデアです。業務用の切れ味のよいはさみはデザインが画一的ですが、デザインに特化したはさみは切れ味がイマイチだったりしますよね。色選びによって雰囲気ががらりと変わるので、ぜひ自分だけの1本として大切に使っていただければと思います」(瀧川さん)
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